05年12月11日(日) 農政報告会

2005年12月10日(土) 、地元山鹿のJA鹿本会館にて、役職員の皆様を前に、農政報告会を開催致しました。以下、講演内容です。

 今の農業情勢の厳しさと政策課題が多いという状況の中で、副大臣という立場を頂きました。
 前にも申し上げましたが、政務次官という立場よりもより責任が重たいし、その分権限も大きいなということをこの1月、痛感を致しております。天皇陛下に直接任命を頂く認証官というものの立場の重さかなというふうにも思っております。
 ご参考までに皆様に会報の一部を配らせて頂きましたが、左上に昭仁天皇の御名御璽がしるしてございますが、これが官記と呼ばれております。天皇陛下の横に立ってらっしゃる小泉総理から任命書を頂きましたが、その後天皇陛下から御言葉をひと言頂いて、後ろずさりしながら戻るということでございました。その間20M位、天皇に正対しながら一人で歩いていかなければならない場面があります。本当に、まっすぐ歩けなないな、という感じでありまして、ほとんど小学生の運動会の行進の緊張の状態と一緒だなということだけ、お伝えしておきたいと思います。
 本当に任が重たいわけでありますが、WTOのこと、あるいは今後の皆様のご心配を頂いております19年から始まります新しい経営対策とそれに関連する対策、あるいはそれに合せて果樹対策も新しく始まります。そういうものを考えますと、本当に立場を懸けてやらなければならないことばかりだと、大変緊張した思いでおりますが、しっかり頑張っていきたいというふうに思っております。

 今日は課題につきましては、WTOと輸出促進とそれから言下のこの経営安定対策の、3点をお話したいと思います。重点は3番目に置きたいというふうに思っております。

 WTOの交渉は、今13日から18日ということで、県からも代表が数十人の単位で行きまして、側面的応援をして頂くということでございます。政府は政府、大臣を筆頭に、副大臣は当初行かないこととしていましたが結果としまして私が14日から17日までは大臣と同行するという形になりました。向こうでお会いする方も中にはいらっしゃるのではないかというふうに思っております。
 ただ、見通しとしましては今大きな課題が残っておりますのは、いつも申しますように補助金部分と関税部分とそれから輸出に関するルート、この3つのものがWTOの農業交渉の3分野であります。しかし、我が国で関心が残っておりますのは関税の部分、いわゆる市場アクセスといわれる、それぞれの関税を決めるという部分です。ここで、守るものを守らなければならない。ほかの部分は我々はまだまだWTOが輸出促進を、あるいは貿易の自由化を目指す機関とするならば、交渉上プレッシャーをかける材料を持っているということです。しかし関税の部分はほとんど守り一方で、ここは非常に難しい問題である、という状況であります。しかし、WTO全体を考えますと2つの交渉分野があります。1つはこの農業分野です。もう片肺は非農産品ということでありますから、これは鉱工業製品から農林水の中の林水、林産物・・・木材そのものから水産物までを含んだ分野が、大きな交渉の中身であります。
 その農業のほうにまた3つの分野があるということでありますが、いかに農業交渉が非常にこのWTO全体の交渉をまとめるにあたって比重があるという、それぐらい各国にとって重要な重大な関心事項であるということがいえるかと思っております。それだけに、今回の今の状況で申し上げますと、皆様にもご心配頂いています上限関税、これは全ての関税品目に対して一定の上限を強制的にはめよう、という考え方でありますが、この問題が新たに浮上してきております。それと、我が国が同意していますことでは、全体の関税を4段階に分けてルールを作るということです。我が国の農産物は1300の関税品目あるのですが、それをそのルールに入れて、高いものは相当に下げる、安いものは少なく下げる、というルールには我が国も一応同意をしております。これを、どういう内容にするかというのがもう1点の大きな項目であります。
 それからもう1つは、重要品目を全体に係る規制の例外にしよう、という考え方もあるわけであります。この重要品目の数がいくつになるかというのが、実は我々日本のあるいは熊本県の農業の生死を分けるような話になってくるのだということを頭においていただければ、と思います。この点につきましては、全く議論が分かれておりまして、1300のうちの何%にするかというのが各国の生きる死ぬかが決まってしまう、という状況であります。アメリカはこれを1%と言っております。1%というなら、色んな形で米も輸入していますので、米の半分だけしか守れないということになります。米の品目は17ありますが、1%でしたら13にしかなりませんから、米すらも守れない。ましていわんや乳製品は今54品目高関税を張っておりますが、これも全部下げられてしまう、というっことになります。これは日本政府としましては絶対阻止、という形で進んでおります。
 それから、他の2点につきましても勿論しっかりやらないといけない訳ですが今の状況下、どうも12月には答えは出せないなと感じています。何の答えを出そうとしているのかといいますと、共通のルールをきめることで、これはフルモダリティといっておりますが、そこまでは到底いかないだろうというのが今の見通しであって、今後、来年が交渉の期限だとするならば、これから3ヶ月が非常に更に大きな山になってくるのではないかと思います。
 どうも香港の閣僚会議以降にですね、まだ協議の場所が残ってこざるをえない。そして、色々考えていくとアメリカもですね、アメリカのいわゆる通商関係の法律の期限、通商代表部というのがアメリカにはありまして、そこに全権を委託しながら対外通商に臨ませるのですが、委託の権限移譲の期限がそれから更に1年あるようでして、色々話しをしていくと、来年が交渉の期限となっておりますが見通しはというと、まだまだこれから山がいくつか続くということを頭においていただければというふうに思います。
 WTOは全力で頑張っていきます。上限関税は認めない。あるいは階層方式にしましても我が国に有利な階層方式にしていく、重要項目につきましては我が国の主張は15%です。15%ならば70~80の項目には充分になりますから、そこのところはきちっと乳製品までいれられる形になるのではないか、ということであります。
EUについて申しますと、重要品目のパーセンテージは7~8%と主張しています。丁度、アメリカの1%、EUが中を取って7~8%、日本が15%、ということで今、議論が分かれているということを、そういう中での今後の交渉になっていくというをご理解いただければなあというふうに思います。全力でやっていきたいと思っております。

 それから2番目の農産品の輸出促進ということにつきまして、タイに行ってきました事もからめまして話しをさせて頂きたいと思います。タイで去年展示会があって今年が2回目、これは日本の食品・農業産品を中心とした、展示商談会です。去年はここで400件成約しております。細かい内訳で、農業の生鮮部門でどれだけあったかは今数字を持ち合わせませんが、そういう実績があっての2回目ということで、農林水産省を代表して、JETROという貿易促進機構が主催でありますので、私は実質主催者という立場でそれに行って参りました。2泊3日で、1晩は機内泊です。大分強行スケジュールでした。
 まあそういうことで行って来ましたが、展示会そのものは去年と同じ規模くらいで54くらいの参加社があって盛況だったのですが、私が一つ感動した場面がありました。それは農林省の予定にはなかったけれど、「日本の農産物をですね常設で売っている店を一軒見せてくれ、そういうところはあるか」、と聞くと「ある」というのですね。「ならばそれを見せてくれ。どういう形で売っているのか見てみたい。」ということで行ったら、そこは常務がよく御存知の会社でありましたが、サングローブというアメリカの会社の店舗で、400~500坪はあったのかなと思うくらいの売り場面積を持っておりました。その中に、生鮮・果物を中心としました場所がありました。野菜はそう多くはなかったのですが、・・・野菜は普通の市場に一杯ありますから・・・、高級果物のコーナーに実はJA鹿本のマークがあったんです。小玉のスイカでした。私はこれを見つけたときは興奮しました。4玉ありました。決して大きな面積ではありませんが、それは興奮しました。そして値段を見てまた興奮しました。1玉1万2千円だったんです。太田市場の中卸の会社が卸しているのが並べてありました。売れ行きその他まではチェックする暇はなかったのですが、サングローブの社長も来ておられて、その日販促ために無料で品物を配るというので、私もリンゴを3箱分ほど配りました。
 時間がなかったもので、帰ってきて、現地に残してきた農林省の職員に調べさせましたら、普通は言わないCIF価格・・・CIF価格というのは輸送料・保険料含んで、向こうに到着したときの値段です。・・・それがですね、JA鹿本の小玉スイカの到着コストが4千円ということを教えてくれました。4千円から今度は向こうの関税等々払っていきまして物流コストが3倍になっておるということです。これは丁度3倍です。1玉1万2千円でしたから。それと、産地が確認されました中に熊本産がもう一つあったのはアンデスメロンです。これは向こうの到着価格は1350円。に対して向こうでの売値は4608円。率にして3.4倍。そういう形で売られておりまして、そのサングローブのという店は、タイで最も高級なデパートの地下なんですよ。ですから、消費者というのは相当限定されているで、間違ってもタイの一般国民にですね・・・8000万人と云われておりますが・・・ふんだんに目の届くような所にある代物ではないのです。本当にそこ一軒しかないような店に入っていたということで、その辺のイメージは間違えないようにですがね、皆様方もお持ちでおられた方がいいのかな、とは思っております。まさしくこれは高嶺の花であることは間違いない。
 あと、新高梨も並んでおりました。これは1玉140円で到着したのが、387円。これは、コスト的にはかなり手の届く範囲になっている品物だなあと感じました。梨とリンゴが一番売り場面積が広かったということであります。これは参考になりました。
 そんな状況であって、何故タイで展示会を開催したのかというのは、タイに住んでいる日本人の数が、まず多いということです。バンコクには推定5万人を超えるくらい居るだろうと。それ1つが一つの市場があるということです。それから、タイが・・・いわゆるASEANというのが10カ国インドネシアとかマレーシアとかミャンマーとかありますが・・・そこの日本人社会の拠点になっているということでありますから、そこに買出しに来てまた情報を持って品物を持って帰る人が多いということであります。一部はアラブからも日本人が来るということです。そういう場所だから、展示会をやる意味があるだろうということで、開催したということでございます。
 そんなことがありましたので、その辺の御報告をしておきたいと思います。

 それから、忘れないうちに身近な課題でありますが、そして重大な課題であります瓜の話をちょっとしておきたいと思います。黄化葉症の件であります。昨日までの状況というのをまとめたものを組合長に資料として手渡しをいたしておきました。それをかいつまんでお話しをいたします。
 私も11月の6日に鹿央の圃場を中心に視察をさせて頂きました。それは大変酷い、というのは素人でもすぐに分かりました。そういう中で、2つのポイントでやってきました。
 1つは原因究明をして共済の対象にする、ということです。加入率は非常に低いようですが。その点をやってきました。原因究明をとにかく急がせました。県の方の試験場、国の方の試験場両面でやります。何とかですね、どうもこの段階に来て、シルバーリーフ・コナジラミの可能性が高い、というところまでは展開が来ました。それはお伝えしておきたいと思います。ということになりますと今度は、共済の方の準備をしなければなりませんから、それはいつまで遡ってからやるのか等々を今検討を県を中心にさせ始めました。この辺は団体金融課という県の部署を中心に、共済組合と連携の中にやっていただきたい。なんとかそういう方向になるのかなと思います。これは確定ではありませんので今日はここまでしか言えません。ここまでも言わない方がいい話ではありますが、そういう意味でも理解しておいて頂きたいというふうに思います。それが1点。
 それから、今後の次期作に向けての対策であります。端的に申しますとやっぱりネットだなと。とりあえず防虫ネット。農薬の方はですね。トマトのシルバーリーフ・コナジラミに効果があると言われておりますのはあるようですが、これはまだ食品安全委員会で安全確認が出来ておりません。この点は農林省も皆様方と一緒にイライラしてまっております。しかし科学的に結論を出さないといけない機関ですから、行政的にも政治的にもプレッシャーはかけられない、という状況の中で見ております。それが認定されて来ますと、そっちのほうにもまず、農薬的にも対処が1つたつのかなと思います。しかし当面は防虫ネットをどう使うか、それをまた行政的にどう支援をするかという点しかないということで、ご理解を下さい。それについては来年に向けて、今年の補正を含めてですが、充分な予算を確保していく方向でありますので、その点はよく今度は行政とご相談頂きながら、鹿本での導入というのをしていって頂きたい、もうそれが出来る状況になっていますので、これが主な2点であります。
 それからもう1点関連してですが、受粉をする時のマルハナバチ、あれが輸入物がもう使えなくなるのではないか、と色々ご心配をおかけしておりましたが、これは特定外来生物に指定する方向です。その後の運用は、使いたい人に申請をしていただきます。それに対して認可をする、という方式で、マルハナバチたちが外に出ないという前提で許可をしていくという方向になりました。これは近々、公式の連絡をしていきますので、そのようにお受けとめいただければと思います。ということになりますと、さっきのネットがここでも出てくる訳なのです。ネットを張ってもらい、今度は中のものが外に出て行かないようにしていただく、ということになります。マルハナバチの助成事業がありますので、皆様方で導入を検討して頂きたいということであります。これから年内に瓜類のネットも手を挙げていただきます。ですから農協の方もそのつもりで、もう実質的に応募者を当たって頂く作業を始めて頂ければなあというふうに思いますので、宜しくお願い申し上げたいと思います。

 今日の中心課題であります経営対策の方に移らせて頂きたいと思います。
 経営対策につきましては、お手元に配らせて頂いた資料の2ページ目を見てください。経営所得安定対策等大綱のポイントというのが出てきます。ここでまず冒頭、皆様方に頭に置いて頂きたいというのは、いわゆる集落営農が20町とかあるいは認定農業者の場合が4町とか言われていますのは、この3本柱のうちの真ん中だけということです。真ん中だけしか示していないということです。この両方にあります、あと2つの政策、これも非常に大事です。左の方は表裏一体と書いてあります。右の方は車の両輪と書いてあります。要は、連携をしているということです。ここは、農協にも詳しい資料が届いていなかったようなので、念のために私のほうで営農部長さんの方に詳しい資料を届けておきました。ここのところの関わりをまず冒頭説明をしたいと思います。
 今までやってきたものが分かり易いものですから、1番左からいきますが、これは今までやってきていた生産調整です。ですから、地域作り交付金という形で協議会を作っていただいて決めやすいようにしたほうがいいということでやって、今年が2年目です。これを来年までやる、ということでありますが、ここに書いてあることはその後のことで、19年からのことがここには書いてあるということです。19年以降も、この左側の柱の、生産調整に関する政策は残す、ということです。ですから、極端にいいますと、新しい担い手対策で、対象になるかどうかが関心事項だけど、ここの真ん中の政策の対象になった人も、減反の部分では、認定農業者であれ、集落営農の参加者であれ、左の方の水田対策の減反調整金は減反調整金としてもらえるということであります。そういうことで関係をご理解いただきたいと思います。
 それから、新しい経営対策の対象にならなかった人もここの水田対策は残るということです。これは当然のことですが減反をする人だけですね。減反奨励金という形での従来の方式はここに残るというそのことは頭に入れといてもらえればと思います。
 それから一部所得経営対策というのがあります。八割補填の部分です。ここでは米を例に話します。その米の所得経営政策は一部要素をこの中に残していくことになります。ちょっとまん中の経営対策と重複してきますけれども。そういうふうにおおまかにご理解していただければと思います。
 それから右の方の話を先にします。右の方の「農地・水・環境保全向上対策」というところです。これは全く新規の事業を19年から展開するということです。ポイントは2点あります。一点は土地管理や運営維持管理が非常に難しくなっている状況の中でそれの加勢になるようにします。
 何をするかといいますと、今の土地改良区でもいい、集落的な新たな固まりでもいい、あるいは土地と農村と交流事業をしているからその土地の人たちを参加委員に加えてもいい、農村の中に非農家もあるから非農家も入れてもいい、いずれにしても一つのグループをはっきりしてもらうということです。そしてページを三枚めくってもらいますと、こういう写真がでてきます。ですからこの対象はグループ化してもらっているなら、いわゆる経営対策の集落営農集団でもいいわけです。そういう方々がグループとして計画書を出して計画に基づいて今もされているクロギリとか道作りとか、あるいは溝さらいとかその辺を計画に基づいて取り組んだ場合は、その管理面積に応じて補助金を出そうということです。
 補助金のレベルは、北海道の基準は除きますが、こちらの本州でいいますと、水田が反当り2200円。これは国の負担分が2200円です。それから市町村と県であと2200円、半分ということですから。あわせて4400円ということになります。それが一反分です。畑の場合が1400円です。1400円の二倍で2800円になるということです。これが反でみますとたいしたことはありませんが、土地改良の面積でみていきますと相当な面積になりますので、100万単位あるいは数十万単位の話になってきます。ですから集落営農を今後検討する中で、併せて頭の中に入れておかれると、これが車の両輪になっていくわけです。そういうことをにらみながら取り組みをしていってもらうといいということです。
 それでこの「農地・水・環境」のもう一点の柱はこの土地改良いわゆる農地を保全するという事業に対する支援として、今広がりつつあります有機農法等々です。減農薬あるいは無農薬あるいは合鴨を利用した農法、これらの農法をグループで取り組んでもらうというのが一つの条件になってきます。その時にそういう通常の農法に対して、借り増し・追加になる費用について一定量の補填をしようというのがここにはいっております。これが二本の「農地・環境・水」の対策であります。ここのところもしっかり頭に入れていただいて、これは有機農法で生産した、環境に優しい農法で生産したものが一つのブランドとして市場ができる、あるいは産地団地化ができる為の支援を農業政策でやっていこうという、目的でありますので、あわせて考えていただくといいと思います。

 それでは、一番最後に残しましたが大事なところに入っていきたいと思います。集落営農・認定農業者の二つを対象とする新しい経営安定対策でありますが、まず、どういう方が対象になるかというのは集落営農の20町面積を入れるという話し。それから認定農業者は4町、水田・麦・大豆がないといけないという話しが完全になくなったというふうに頭を切り替えてください。特例でも熊本県にはそういう基準はほとんど残ってきません。条件を持っている人は別ですが。もう待ったくなし、その話は緩和してしまったというふうに頭を切り替えてください。そこまでやりました。詰めができました。これは胸を張って報告をできると思います。
 その前提で、先にどんなことが受けられるかということを話します。それはこの対象者になるということで、メリットは大豆・麦でこれまでの過去の実績に基づいた固定的な支払を作付けにすれば受けられるということになります。これまでちょっと獏作経営安定資金とか大豆補填金でやっておりましたがそれと似た制度がここに中核にすわるということです。補填金額は全国平均ですからそれぞれのこれまでの反集実績あるいは過去の実績に基づいて地域間格差がでてきます。参考までに全国平均をいいますと小麦が反当たり40,000円。それから大豆が反当たり大体30,000円の水準だと。それから増減がでてくるということを頭に入れてもらえればと思います。その払い方はこれまでの実績に基づくものが大体半分決定されるということ、作付け前に。それから作付けして収穫前にその品質の反集に基づくものがまた半分支払われるということ。それが40,000円なり30,000円になるそういう方式だということを頭に入れておいていただければと思います。それが二本型の直接支払い。固定支払といわれているのはこの部分です。
 それと今度はもう一つ米が対象になるということ。しかし米については皆様方御存知の通り補填金はありません。作付けするということで補填金があるということはありません。これまでとほとんど似たシステムでありますが、価格の変動によりまして下がった時の下がった分の今まで8割でありますが、今度の政策では9割補填をします。そこが施策として水準を上げたところです。それから拠出金の出し方が、今までは2対1だったものが今度は国が3出して生産者は1ですから25パーセントというふうに生産者の負担割合が減額になります。この点もあわせて頭に入れていただければと思います。
 それでは、大豆・麦は補填金を出すのならば、米も出せばいいじゃないかという話になるかもしれませんが、大豆・麦はもう自由化をしております。そして受給率もご存知のように低い状態になって、それ以上にいわゆる国内と国外の価格差というものが圧倒的な価格差があるということです。これに対しては一定水準まで直接支払いということで政府支援ができるWTO上の正義でもあります。ところが米の場合は一方で実質自由化しておりません。今完全割当制度、いわゆるミニマムアクセスでですね、77万トン我々は義務的輸入をしているというだけですから。あとは500パーセントという高い関税水準で守っておりますから。その分で米はそういう政策はとれないということです。大きく二つ区分けをいただければと思います。そういう状況で米については経営安定は、価格が下がった時のやり方。そして大豆・麦の方は補填金を出しておいてその上で今までこれは大豆にはなかったんですが、こちらのほうも価格が下がった時はその下がり幅に対して9割補填という米と同じ扱いを導入します。これが、この新しい経営対策の中から受けられる一つのメリットだということをご理解いただければと思います。
 そうなれば最後に残った一番重要な問題は誰が対象になるかという話しでありますが、そこを話させていただきたいと思います。これには特例を各都道府県が作ることになりました。三つの特例であります。その特例に基づいて、さっき言いましたいわゆる20町とか4町とかいう話しは全くなくなりました。熊本県ではそういうケースはほとんどなくなるでしょうということであります。その特例を今から三点説明したいと思いますが、一番わかりやすいのは・・・まだ市町村にも言ってない状態でありますが・・・、資料の一番最後に添付した表をみてください。これが一番わかりやすいと思います。まだ県内の市町村行政にもこの表はいってないと思います。これが具体的に今後の特例をどういうふうにやるかというのを示した表であります。
 大きく左側の上の物理的制約に応じた特例。これが第一番の特例です。それから第二番の特例は右側にあります生産調整に応じた(集落営農)、これは集落営農だけ対象にするわけです。前の方は認定農業者も集落営農も個人も集落も両方対象にしますというこの二つ。さらにもう一つ今度は集落も認定農業者も両方対象にします所得特例というのは・・・この紙に反映しておりませんが・・・、もう一つあります。この三つで特例をみながら皆さん方のいわゆる経営対策の対象になる条件を緩和しようというわけであります。
 一番目の物理的制約に応じた特例といいますのは一番左端にA市・B市・C市からF村まで書いてありますがこの3行目の1集落あたり田・畑の平均面積というのをみてもらいますと40町・30町・20町。20町というのがいわゆる基準面積です。18町・15町・12町、要はそもそも面積自体が20町は、その村にはないですよ、という場合があります。そういうところにどういう緩和策をするか、ということがあります。表の下の方にE市、F村というのがありますが、このへんを見ていただくとわかりますが、まず全国の集落の基本(平均)面積というのは25町だそうです。それが4列目に書いてあります。これは上から下まで共通です。それを分母として実際の市内にあります米・麦・大豆に係る面積を割ります。そうしますと18町のところを25町で割りますと、72パーセントという数字がでてきます。これを基準面積の20町に掛けますから14.4ヘクタールという面積が集まれば集落営農は大丈夫ですよということになり、そのひとつ右をみてもらいますと、2.9ヘクタールというのがあります。これが認定農業者の場合の基準面積になってくるということであります。
 しかし集落営農、認定農業者共に一番下のレベルはもう決めてあります。その加減面積といいますのは一番下の行をみてもらうといいですが、集落営農の場合が50パーセント、数字にしますと10町。これが一番加減になりますよと、この特例の場合はですね。他の特例だともっと低くなります。ちなみに言っておきますが。それから認定農業者の場合はこの特例を利用した場合最低2.6町ということになります。ですからここの格差率というのを掛けていくということがこの特例のやり方だということです。それから右の生産調整に応じた特例に移りますが、ここは集落営農だけです。各地域、集落で条件が一つあります。その条件をこの紙には書いてないので書いておいてください。その一つの集落の中にある集落営農集団がそこの全部の減反面積のうちの半分以上を受けるということ、です。米の減反面積の半分以上をその集落営農集団が受けるということです。それでないとこの対象にはならないということです。それを前提にこの対象になりますと、その地域の集約しなければならない土地面積はそこの水田・畑両方含めて、米・麦・大豆の経営面積掛ける減反率でいいということです。この表で見ていただきますと、E市を、山鹿市に例えてみます。山鹿市でも、平たん地と中間山地域が両方入っておりますから。そのまず平地の方、中山間地域でない方は、下から3行目のE市のA地域の方でありますが、200町あって水田作付けが120町で、生産調整面積が80町ということになりますと減反率が4割になります。そうすると20町という、いわゆる基準面積があります。これに40パーセントを掛けたものが右の数字の8ヘクタールということになります。こちらの方が面積が少なくすむということになります。これが生産調整に基づく特例であります。それからE市のB地区、これが中山間地域ですけれども同じ計算式でその下の数字ですけれども、ちょうど5町になっているということ。なぜ5町になるかというと、4割をかけた上で中山間地の特典は、中山間地地域補正というのを8分の5、これは数字にしますと0.62です。これをもう一回かけていいようになっているわけです。ですからこれで5町になる。そうしますと大分違ってくるなという感じをおつかみいただけるかと思います。
 そして三番目の特例に移ります。さらに力を入れて大綱をまとめるにあたって経営政策課長とやりあって勝ち取ったといっても過言ではないというところなんですが、実は所得特例といわれております。所得特例は基本的には農林省の考え方はこうでした。皆さん方の農業所得があると、その農業所得の米・麦・大豆から得られる所得合計が全部の所得の三分の一を上回るならばこの経営安定対策の対象にしようという内容です。それで所得特例といいます。ところが施設園芸自体、鹿本あるいは花を考えても到底無理です。収入は圧倒的に小さな面積で他からあげているところが多いわけです。これはダメということが私の突っ張った議論であります。そして役人は知恵が多いから考え付いてきた。んーそれなら僕も納得せざるを得ないというのが、それを面積に変えてきたわけです。同じ三分の一で米・麦・大豆の面積が全体の経営面積の三分の一を超えるといいというところに変えてきたわけです。ですから実際これは所得ではなく面積特例になったわけです。面積特例であればその面積がいくつであろうが問わずこれは面積を決めるわけではない。面積の比率なんです。ですから集落営農であれ、認定農業者であれ、自分たちが集約した土地が全体の経営面積の・・・全体の経営面積というのは集落営農で持ち寄った分の経営面積です。あるいは認定農業者がそもそも持っている経営面積プラス受託でやる分もいいんです。その面積に入れて。それがその中で米麦大豆の面積が三分の一を超える、ただ二毛作でやることはできない。同じ補助を二回に換算することはできないというルールであります。それで三分の一を超える場合はこの経営安定対策の対象にしようと。
 今駆け足で申しましたが、この三つの特例がそれぞれの地域で導入できるということになりました。これは是非頭に入れていただいて今後の集落協議の中で、ここが基本になるということを頭においていただければと思います。ただ、問題は大型の農家がおられて、自分の個人でしようかと。だけれども集落として大型認定農業者が抜けられるとその面積はたたないという問題がでてくると思います。そこはしっかり協力していただかないといけない。やっぱり集落営農が円滑が進んでいかないと、この対象者にもれるのが数多くでてきますから、それは一つの差になってきます。そこのところはよく協議をしていただければと思います。
 これで大体大きな、19年から始まります内容についてお話しをしたところでありますがスケジュール的には実際は先ずはこの特認の状況を国として把握をしないといけないというのが一番にあります。ですからガイドライン、それをまとめたのが後ろの表でありますが、これは11月の30日に各都道府県に配布をしました。30日付けで。今、都道府県が農業団体ともアラアラの相談をして13日にはアラアラの熊本県内はこういう形になりますというのを九州農政局に出す予定になっております。そこから話しはスタートしていきます。そこでこの12月1月2月くらいまでには集落の大体の方向性というのを決めてもらって熊本県がその集落の意向に基づいて農林水産省に、熊本県全体としてはこういう特例でやっていきますと。それはいくつあってもいいです。ということを言って農林水産大臣の許可を得て、今言いました私の特例の内容というのは認可をされるという形になってきます。ここは必ずそうできるということで我々も事前に県とも話してきておりますので、今後は集落ごとのこの生き方を決めてもらうと、あるいは認定農業者との調整を図ってもらうということ、そこが一番大事なことになってきますので各役職員の皆さんにはよろしくご理解いただきたいと思います。
 ただし、この特例を二つ合せることはできない。これは選択です。ここを僕は農林省のある責任者にきいたら、責任者も知らなかった。よく確認をしたらそういうことであります。合せては使えないということです。三つの中からどれかを選んでいく必要があるということです。実際の法律改正は来年の五月の連休前後になってくると思います。それから県が大体下話を3月中までに終わらせていた内容を国に挙げて、・・・その法律ができないと実際の申請認可できません・・・、認可をしたらすぐに19年に向けての具体的取り組みに入っていただくという流れになっていきます。

 本当に冒頭話しもありましたとおり、戦後農政いわゆる食料増産ソシテバ選択的規模拡大と畜産、果樹、野菜の振興を図ってきました。それで全体が加重機構になって、いわゆる農産物価格は低迷する中によりやはり農業の担い手として政策を重点化しなくてはいかないというのがひとつの大きな目標としてあります。そうしながら本当に今後地域の核になり農業の方々を確保していくということであります。しかし、冒頭申し上げましたように、この対策はこれ一つではありません。関連の対策が両側にもあります。特に水田調整対策につきましては、この対象にならなかった人たちも全て対象にしていくし、こっちの方の環境・水という対策もそういう方々も皆さん対象にしていくという内容でありますので、今後は集落というものは一つ農業政策の中で大きな位置付けを得るということを念頭においていただいて、今後の議論を進めていただければありがたいと思います。
 いろいろ話さないといけないことがあると思いますが、とりあえずご報告にかえさせていただきます。ありがとうございました。

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